GMDSSはこのようにして船舶遭難時の通信だけでなく一般通信も含まれることになったので、搭載設備も非常に種類が多くなった。その結果、遭難時に船長はどの装置を使って、どのように送信すればよいか判断に迷うことが予想された。そこで日本船長協会では、船舶遭難時にGMDSSを使用する上で船長のなすべき処置の指針を与えるべく、国際船長協会を通じて1990年12月の第36回無線通信小委員会に「GMDSS operating guidance for shipmasters in distress situations」として流れ図形式の指針案を提出した(COM36/3/11)。
この案は、1991年の救命捜索救助小委員会及び無線通信小委員会で審議され図1・2のような流れ図が採択された。各船はこの図を参考にしてその装備状況に応じた流れ図を作成して、船橋に掲示するよう勧告されている。また、この流れ図はMERSAR Manual(Merchant Ship Search and Rescue Manual)に付加されることになった。